税務最新情報

2025年08月12日号 (第548)

103万円の壁のその後の壁について

 みなさん、こんにちは。ガソリンの暫定税率について、年内での廃止が合意されました。ただし、合意文書には財源確保についての記載があるため、減税の代わりに何らかの増税があることも読み取れます、期待もある一方、不安も残りますね。

 さて今回は、クライアントへの訪問時に「税金がかからないようにするには、いくらまで稼いでよいの?」といった質問をよく受けるので、この内容について触れたいと思います。

19歳以上23歳未満の本人とその親の視点

 本人が19歳以上23歳未満の場合、勤労学生に該当するかどうかで税金の取り扱いが変わります。

所得税が0になる収入住民税が0になる収入
勤労学生に非該当160万円以下108万円以下
勤労学生160万円以下134万円以下

 所得税がゼロとなる収入金額は、給与が150万円を超えると勤労学生控除が適用されないため、勤労学生に該当する場合でも160万円となります。住民税がゼロとなる金額は、勤労学生に非該当の場合は108万円以下、勤労学生に該当する場合は134万円以下です。

 次に視点を変えて、19歳以上23歳未満の子を持つ親の立場から見てみましょう。

所得税住民税
収入150万円以下控除額63万円控除額45万円
収入150万円超188万円以下控除額61万円~3万円
(段階控除)
控除額41万円から3万円
(段階控除)

 親の視点では、子にかかる扶養控除を満額受けようとすると、子の収入の上限は150万円となります。仮に150万円を超えた場合でも、控除額が段階的に小さくなっていくため、子の収入が増えることで親の手取り額が大きく減る「逆転現象」は起こらない仕組みです。

高校生のアルバイトや23歳以上のフリーター本人とその親の視点

 まず本人の視点では、19歳以上23歳未満に該当しない高校生や23歳以上のフリーターの場合、上記と同様のルールが適用されます。

所得税が0になる収入住民税が0になる収入
勤労学生に非該当160万円以下108万円以下
勤労学生160万円以下134万円以下

 一方、親の立場から見ると以下のような違いが生じます。

所得税住民税
収入123万円以下控除額38万円控除額33万円

 子の収入が123万円を超えると、扶養控除が全額消滅するため、子の手取り額の増加分よりも、親の手取り額の減少分が大きくなる「逆転現象」が生じます。この点には注意が必要です。

配偶者の収入金額について

 配偶者の場合、本人の立場では収入160万円までは所得税がかかりません。また夫の立場からも、配偶者特別控除を満額利用できる収入上限は160万円となります。収入が160万円を超えた場合でも、控除額が段階的に小さくなるため、逆転現象は起こりません。

 なお、本人の立場から見て住民税がかからない収入上限は108万円までです。

 

 全てを覚えようとするのは難しいですが、本人視点では「所得税は160万円、住民税は108万円」と考えておくとシンプルです。ただし19歳未満23歳以上の子を扶養している場合は、逆転現象に注意が必要です。

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